P.F.ドラッカー『マネジメント 第13章』【要約】

‐第13章 例外とそこから得られる教訓 まとめ‐

公的機関・準公的機関ケーススタディのため、教訓のみの抜粋とした。

 

1. 例外 ~ 明治日本の教訓

・公的組織の舵取りをする人々は、組織の本分は何か、将来の本分は何か、何を本分にすべきかに関して、みずからリスクを伴う判断を下さない限り、一般受けのしない、意見が大きく分かれる施策に打って出られないのだ。

・公的機関の成果を高めるという仕事は、広く普及した伝統的なアプローチによっては達成できない。・・・(中略)・・・重要なのは、マネジメントの自律性と責任である。問題は、成果を出すために、成果にもとづいて経営資源が配分されるかどうかである。

 

2. 市場アプローチと社会主義競争

・市場による検証がうまく働けば、優れた活動をとおして成果が生まれる。・・・(中略)・・・報酬を活動ぶりや成果に連動させれば、優れた活動と成果を目指そうという気運が盛り上がるのだ。

 

P.F.ドラッカー『マネジメント 第12章』【要約】

‐第12章 公的機関はなぜ成果を生まないのか まとめ‐

予算型組織にとっては、より多くの予算を獲得すれば成果を出したことになる。予算をどれだけ獲得できるかで活動ぶりを見極めようとする姿勢は効率とは相いれず、事業の目的を明確にしづらいことも伴って、効果は効率以上に怪しくなる。また、公的機関は全ての関係者の理解を得なくてはならないことより、特定の分野に資源を集中できず、成果を生み出せていない。

 

本章からの抜粋は以下とした。

1. 三つの通説

・公的機関が成果を生まない理由としては、以下の三つがしばしば指摘される。

  1. 上層部にビジネス感覚が欠けている
  2. よりよい人材が求められている
  3. 目標と結果が目に見えない

・これら三つはいずれも説明というよりも言い訳に過ぎない。・・・(中略)・・・公的機関が成果をあげられないのは、まさに企業でないからに他ならない。

・「公的機関が必要とするのはよりよい人材だ」という議論にさして根拠がないことは、フランス政府を見ればいっそう納得がいく。・・・(中略)・・・欠点は人材ではなく制度にある。

・一見したところ、一番もっともらしいのは、「公的機関の目標は、結果と同じく目に見えない」というものだ。これはどう贔屓目にみても、真実の一面だけにすぎない。「自分たちの本分は何か」は、公的機関にとどまらず企業にとっても、常に目に見えない。

 

2. 予算がもたらす誤り ~ 稼いだ収入vs当然の収入

・予算頼みの組織にとっては、より多くの予算を獲得すれば成果を出したことになる。活動ぶりとは、予算枠を維持したり、増やしたりする手腕を指す。・・・(中略)・・・そして、予算とは本来、貢献ではなく、意思を反映して決まる。

・予算をどれだけ獲得できるかで活動ぶりを見極めようとする姿勢は、効率とは相いれない。・・・(中略)・・・低コストと高効率を心掛けたりしたら、かえってやぶ蛇になりかねない。このため彼らは常に予算の獲得に走る。・・・(中略)・・・だが、予算配分に依存すると、効果は効率以上に怪しくなる。

・「何を事業にすべきか」などという問いを抱くと、自分たちの墓穴を掘りかねない。この問いは必ず意見が分かれる。論争をすると、えてして味方が減るため、予算型組織は論争を避けるだろう。

・予算に依存すると、優先順位をつけたり、特定の分野に努力を集中したりすることができなくなる。だが、貴重な資源を少数の優先事項に集中的に投入しない限り、何も達成されない。

・予算を獲得するためには、広い意味での利害関係者ほぼすべてから賞賛を受けるか、せめて黙認してもらう必要がある。・・・(中略)・・・公的機関は特定の分野に集中できないのである。すべての関係者の理解を得なくてはならないのだ。

・他のすべての組織と同じく政府にとっても、今日の適切なルールは、「活動はすべて永遠に続けるものだ」ではなく、「現在の活動はみな、数年後には廃止が検討される可能性が高い」である。

・予算配分は、どれだけ必要とされていても、それどころか望まれていたとしても、組織を誤った方向へと導く。多くの場合、いやほとんどの場合、これをなくすわけにはいかない。ただし、範囲を絞ったり、影響を和らげたり、欠点を大きく補ったりすることはできる。

P.F.ドラッカー『マネジメント 第11章』【要約】

‐第11章 多彩な組織が支える社会 まとめ‐

公的機関は、企業内の間接部門同様、現代社会において文字通りの成長セクターである。マネジャーの仕事や任務、組織の構想や仕組み、トップの体制においても、さして違いはないにも関わらず、実績は芳しくはない。公的機関が実績をあげるうえでは、一握りの公的機関が実践する以下のマネジメント上の問いかけが必須となる。

(1)何が妨げになっているのだろうか?

(2)何を実践しているのか?

(3)何を避けているのだろうか?

 

本章からの抜粋は以下の通り。

1. 公的機関は社会における成長セクターである~マネジメントは可能なのだろうか

・公的機関は、現代社会において文字通りの成長セクターである。・・・(中略)・・・企業の内部に限っても、著しい成長を遂げてきたのが「間接部門」である。・・・(中略)・・・企業内のサポート組織もまた、会社の重荷であり、それが本来の姿だ。

・政府や公的機関の官僚的体質を最も執拗に批判するのは、えてして企業経営者である。しかし、企業内のサポート組織が、果たして官僚的な公的機関よりも高い成果をあげているかどうかは、怪しいものである。

 

2. 例外の重要性

・一般の公的機関が実績をあげるうえでは、何が妨げになっているのだろうか?実績をあげる一握りの公的機関は、何を実践し、何を避けているのだろうか?このような問いかけが必須であり、それらはマネジメント上の問いである。

・マネジャーの仕事や任務、組織の構想や仕組み、さらにはトップ層の仕事や体制においても、公的機関は民間企業とさして違いはない。組織の内部に目を向けても、えてして言葉が違うだけで実質は変わらない。

・(しかし、筆者追記)成果をあげるためのマネジメントには、公的機関と民間企業とでは決して小さくない開きがある。

・公的機関が成果をあげられずにいる理由は分かっている。公的機関の内にある障害を乗り越え、成果と結果を出すための条件も見極めることが出来る。

 

P.F.ドラッカー『マネジメント 第10章』【要約】

‐第10章 戦略的プランニング:起業家的な技能 まとめ‐

プランニングの本質は、将来についての知識をもとに現時点で判断を下すことにある。リスクを伴う意思決定をするかしないかについては、経営陣には選択の余地はなく、経営者である以上は当然の役割と認識すること。戦略的プランニングの狙い現時点で行動を起こすことにあり、以下の要点を遵守すること。

  1. 目標の達成に向けて、計画的に決然と仕事をすること
  2. 過去と決別すること
  3. 「従来と同じ取り組みに、よりいっそう注力すれば十分だ」ではなく、目標の達成に向けて、これまでと違った新しい試みを探求すること
  4. 時間軸についてじっくり考える。「必要な時期までに結果を出すためには、いつの時点で着手しなくてはいけないか」と自問すること

本章からの抜粋は以下とした。

1. 長期的プランニングの普及

・長期的プランニングはこの二〇年間、凄まじい勢いで普及してきた・・・(中略)・・・経営者は、将来にわたる判断を体系的に下す技能が必要とされる。

・経営陣には、未来を予測し、将来を切り開こうと試み、短期と長期のゴールを調和させる以外、選択肢がない。

・未来は、強く願っても切り開けるとは限らない。現時点で判断を下さなくてはいけない。現時点でリスクを取り、行動を起こす必要がある。経営資源、何よりも人的資源を割り振り、今すぐにでも仕事を始めなくてはならい。

・長期プランニングは、①現在のトレンドがそのまま続くと思い込む、②製品、サービス、市場、技術などはこれからも変わらないと仮定する、そして何より、③過去にしがみつくために経営資源や努力を傾注する、といった誤りを防ぐものでなくてはいけない。

2. 長期プランニングに含まれないもの

・長期プランニングに含まれないものが何かを、ぜひ知っておくべきである。

  1. 技巧を寄せ集めたものではない。・・・(中略)・・・手法ではなく、責任である。
  2. 予測ではない。将来を思いのままにするわけではない。そのような試みは愚かしい。・・・(中略)・・・戦略的プランニングが必要なのは、まさに予測は不可能だからである。
  3. 将来の判断は扱わない。将来を念頭に置きながら、現在の判断を下すのである。判断は、現在の判断でしかありえない。・・・(中略)・・・「不確実な明日に備えるために、今、何をなすべきなのか」なのだ。
  4. リスクを取り除く試みではない。リスクを最小化しようとの試みですらない。・・・(中略)・・・経済活動とは本来、将来、つまりきわめて不確実な期待のために、現在の経営資源を投じる活動である。

3. 戦略的プランニングとは何か~過去との決別

・戦略的プランニングとは、以下のたゆみないプロセスである。

  1. 将来についての知識を総動員してその時々における起業家的な判断を下し、
  2. その判断を実行するのに必要な努力を組織的に行い、
  3. 判断の結果を、秩序だったフィードバックをもとに期待に照らしながら測定する

・将来を自分たちのものにするためには、まずなすべきは、過去との決別である。・・・(中略)・・・過去との計画的な決別も、それ自体がプランであり、多くの企業にとってふさわしいといえる。・・・(中略)・・・企業の長期プランは、過去との決別に決して触れようとしない。役に立たないのは、おそらくそのせいだろう。

4. いつ、どのような新施策に取り組むべきか

・次のステップでは、「いつ、どのような新施策に取り組むべきか」と自問することになる。・・・(中略)・・・どのプランにおいても「すでに取り組んでいる事柄は、将来のニーズには決してふさわしくない」という前提を置いた方が賢明だと考えられる。

・プランニングの本質は、将来についての知識をもとに、現時点で判断を下すことである。時間軸を決定づけるのは将来の状況であり、その逆ではない。・・・(中略)・・・二〇年以上先に何かを期待しても、現在価値はゼロにひとしいため、当面は最小限の努力と資源を傾けることにとどめておくべきである。

・時間軸の決定そのものが、プランニング・プロセスにおけるリスクを伴う決定なのだ。

・戦略的プランニングの肝要な事項をまとめておきたい。

  1. 目標の達成に向けて、計画的に、決然と仕事をする。
  2. 第一歩として過去と決別すべきである。
  3. 「従来と同じ取り組みに、よりいっそう注力すれば十分だ」と思い込まずに、目標の達成に向けて、これまでと違った新しい試みを探求する。
  4. 最後に、時間軸についてじっくり考え、「必要な時期までに結果を出すためには、いつの時点で着手しなくてはいけないか」と自問する。

5. すべてを具体的な業務に落とし込む

・プランの真価は、将来的に結果を生みそうな行動に対して、経営陣が実際に経営資源を充てるかどうかで決まる。このような関与がなされない限り、謳い文句や希望的観測にすぎず、プランとは呼べない。

・「今のところは、一線級の人材を充てる余裕はありません。現在の・・・(中略)・・・」。このような経営者は、実はプランなど持っていないと告白しているのも同然である。

・何をどのように測定するかによって、何を適切と考えるか、ひいては何に注目し、何を行うかが決まるため、結果の測定はプランニング・プロセスにおいてこの上なく重要なのだ。

・遠い将来に向けて、リスクを伴う意思決定をするかしないかについては、経営陣には選択の余地はない。経営者である以上、そのような意思決定をするのは当然の役割なのだ。

・最終的な成果は、知識ではなく戦略でなくてはいけない。その狙いは、現時点で行動を起こすことである。・・・(中略)、、・・・プランニングを組織的に行い、そこに知識を注入すれば、経営者の判断、リーダーシップ、ビジョンなどは、いっそう威力を増すだろう。

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P.F.ドラッカー『マネジメント 第9章』【要約】

‐第9章 戦略、目標、優先順位、仕事の割り振り まとめ‐

目標設定の土台となるのは、マーケティングイノベーションである。他のすべての分野は、マーケティングイノベーションの目標達成を支えることが行動目標となる。企業は以下の目標設定を必要とする。

  1. マーケティング
  2. イノベーション
  3. 土地
  4. 人的資本
  5. 資本
  6. 生産性
  7. 社会への影響や責任

これら七つの分野の目標について考え、答えを見つけたなら、ようやく「どれだけの利益が必要か」という収益性に関する問いに向き合うことになる。以上の目標群はバランスを必要とし、優先順位をつけ、それをもとに行動しなくてはならない。目標を検討する狙いは、組織の活力と経営資源を、適切な結果を生み出す活動に集中させることである。従って、行動につながらない限り、それらは目標ではないと認識すること。

 

本章からの抜粋は以下とした。

1. マーケティングイノベーション ~ 市場での地位をめぐる判断

・目標を設定するうえで土台となるのは、マーケティングイノベーションである。企業が結果を出すのはこの二つの分野においてなのだ。・・・(中略)・・・他のすべての分野においては、マーケティングイノベーションの目標達成を支えることが行動目標となる。

マーケティング成果をあげるためには、以下のような諸項目について目標が必要になる。

  1. 既存の市場における既存の製品やサービス
  2. 製品、サービス、市場などにまつわる「過去」との決別
  3. 既存市場の新しい製品とサービス
  4. 新規市場
  5. 流通組織
  6. サービスの基準と成果
  7. 与信の基準と成果など

・目標が「戦略」であるのに対して、集中化をめぐる判断は「方針」である。・・・(中略)・・・この方針を定めない限り、かりに競争のルールはあったとしても、戦略、つまり狙いすました行動は取れるはずがない。

・どの分野に重点を置くかの判断は、決定的な意味を持つ。・・・(中略)・・・卓越した業績を上げる企業は、例外なく、どの分野に重点を置くべきかを考え抜き、結論を出してきたはずだ。

・大企業よりも小さい企業の方が、集中化の必要性は高いといえる。経営資源が限られている以上、分野を絞り込まないことには結果を出しようがないのだ。

・すべての企業が市場リーダーの座につけるわけではない。このため、どの市場セグメント、製品、サービス、価値においてリーダーを目指すべきか、判断しなくてはいけない。

・市場で目指すべきは、最大ではなく最適な地位である。そのためには、顧客、製品やサービス、市場セグメント、流通チャネルなどを入念に分析する必要がある。市場戦略と、多大なリスクを伴う決断も欠かせない。

2. イノベーション目標

イノベーション目標とは、「何を事業にするべきか」の答えに沿って実務を進めるための目標である。あらゆる企業は主として三つのイノベーションに関わる。

  1. 製品やサービスのイノベーション
  2. 市場や顧客行動、顧客価値のイノベーション
  3. 製品やサービスを開発し市場に届けるための多彩な技術や活動のイノベーション

イノベーションは市場や顧客ニーズから生まれる。まさに「必要は発明の母」である。・・・(中略)・・・イノベーション目標を設定するうえでは、マネジメント層はまず、「マーケティング目標を達成するためには、どのようなイノベーションが必要か」を考えるべきである。

3. 経営資源の確保、活用、生産性 ~ 企業の社会的役割

経営資源とその確保、活用、生産性をめぐっても、目標を立てる必要がある。・・・(中略)・・・経済活動はすべて、①自然の恵みである土地、②労働力すなわち人的資源、③将来への投資手段としての資本、の三種類の経営資源を必要とする。・・・(中略)・・・必要な人材や資本を引き付けられない企業は、長く存続できないだろう。

・人材と資本を確保するという二つの分野においては、純粋なマーケティング上の目標が欠かせない。

・「入手できるのはこれだけである。ここから最大限の便益を引き出すためには、どのような企業目指し、どのようにふるまわなくてはいけないだろうか」という発想も求められる。

・企業の仕事は経営資源から成果を生み出すことである。従って、企業はみな、土地、労働力、資本という三つの生産要素それぞれについて、そしてまた全体の生産性について、目標を必要とする。・・・(中略)・・・生産性こそ、経営陣にとってなによりの腕の見せ所なのである。

カール・マルクスは、資本の生産性が低下するという前提に立ち、資本主義はいまにも衰退するだろうと自信満々に予測した。・・・(中略)・・・しかし、この予言はこれまでのところは当たっていない。なぜなら、わたしたちはイノベーションを成し遂げ、資本の生産性を高め、新しい業務プロセスや産業を生み出してきたからだ。

・生産性は、難しいがきわめて重要な概念である。生産性の目標がなければ、企業は進むべき方向性を持たないのと同じである。

・社会的役割は、企業にとって生き残りがかかった重要なテーマである。・・・(中略)・・・企業は社会と経済による創造物である。社会あるいは経済によって、一夜にして葬り去られかねない。企業は情けに支えられており、「必要性、有用性、生産性の高い仕事をしている」と社会や経済から認められないかぎり、存続できない。

4. 利益は必要であると同時に制約条件である ~ 制約要因としての収益性

・以上の分野の目標について十分に考え、答えを見つけたなら、ようやく「どれだけの利益が必要か」という問いに向き合うことになる。

・利益の社会・経済面での役割は以下のとおりである。

  1. 事業継続コストを賄うための「上乗せ利益」
  2. 将来の雇用を賄うための資本の源泉
  3. イノベーションと経済成長を後押しするための資本の源泉

・企業ニーズに適合した最小限の収益率は、資本コストに等しい。・・・(中略)・・・資本コストこそ、利益プランを立てる出発点として最適な水準なのだ。

・収益性は必要とされるだけでなく、制約要因でもある。実現できそうもない目標を設定してはいけないのだ。・・・(中略)・・・目標は、必要な収益率から逆算して立てるべきものなのだ。

5. 目標どうしの調和を図る ~ 予算策定の役割

・目標を設定するうえでは三種類の調和が求められる。

  1. 目標は手の届く収益率に沿っていなくてはならない
  2. 短期・長期両方の需要に沿っていなくてはならない
  3. 目標は互いに調和がとれていなくてはならず、・・・(中略)・・・うまくバランスさせる必要がある

・調和のとれた目標を設定するためには、主観を取り除いた表現が必要になる。そのための道具が予算、とりわけ管理支出と設備投資である。・・・(中略)・・・経営陣がコントロールできるのは、将来に向けた支出である。設備投資と管理支出には、リスクを伴う経営判断が反映される。

6. 優先順位をつける ~ 目標をもとに行動する

・何もかもうぃこなせる企業などありはしない。たとえ、資金があったとしても、優れた人材は常に不足しているだろう。

・最も避けるべきは、すべてに中途半端に手を広げようとすることである。何ひとつまともに成し遂げられずに終わるのは、目に見えている。

・優先順位をつけるのはリスクを伴う。優先順位がつけられなかった施策は、事実上は諦められたのと同じである。

・最後のステップがまだ残されている。目標が決まったら、それをもとに行動しなくてはならないのだ。・・・(中略)・・・目標をじっくり検討するのは、知識を蓄えるためではなく、行動するためである。狙いは、組織の活力と経営資源を、適切な結果を生み出す活動に集中させることである。・・・(中略)・・・行動につながらない限り、それは目標ではなく夢にすぎない。

 

P.F.ドラッカー『マネジメント 第8章』【要約】

‐第8章 目標の威力と狙い まとめ‐

マークス・アンド・スペンサーのケーススタディ。確認項目の羅列が多いため、抜粋のみとした。

【筆者追記】

本来の目標管理(MBO)のフレームはかくあるべしといった内容です。ポイントを外すと、形骸化しやすい施策のため反省しきりでした。

1. 教訓

・事業目的は何か、目的と使命は何か、という問いの答えは、目標に反映させなくては意味がない。・・・(中略)・・・M&Sの事例からは、目標の要件が見えてくる。

  1. 目標は、「自社の事業は何か、何であるべきか」という問いをもとに決めなくてはならない。絵に描いた餅であってはいけないのだ。
  2. 目標は実務に根差していなくてはならない。具体的な達成内容や仕事への割り振りへと落とし込めなくては意味がない。
  3. 目標は、経営資源や努力を特定分野に集中するのに役立たなくてはいけない。
  4. 目標はひとつではなく、複数であるべきだ。MBOをめぐる議論が盛んだが、その多くは「唯一最善の目標」を探し求めようとしている。これは賢者の石を追い求めているのと同じくらい不毛であるばかりか、誤った方向づけにつながる有害な試みである。
  5. 企業の生き残りを左右するすべての分野に目標を設ける必要がある。

・企業は皆、以下の主要八分野について目標を定めなくてはならない。

  1. マーケティング
  2. イノベーション
  3. 人的資源
  4. 財務資源
  5. 物的資源
  6. 生産性
  7. 社会的責任
  8. 必要利益

・これらの主要分野の目標を立てると、以下の五つが可能になる。

  1. 少数の包括的なメッセージにより、事業上のあらゆる出来事をひとまとめにして説明する。
  2. それらのメッセージが正しいかどうか、実績に照らして検証する。
  3. 行動を予測する。
  4. 意思決定を下す過程で、決定の中身が正しいかどうかを見極める。
  5. あらゆる階層のマネジャーに自分の経験を分析させ、その結果をもとに成果を向上させる。

2. 業務と役割分担の土台としての目標 ~ 目標の活かし方

・具体的な目標のない分野は、見過ごさせるだろう。何を測定すべきか、何を測定尺度にするのか、などを決めておかないかぎり、その分野そのものが忘れ去られるだろう。

・目標といっても、単なる努力目標では意味がない。業務へと落とし込めなくてはいけないのだ。業務は必ず、期限があり、責任者がおり、測定可能なわかりやすい結果につながるなど、具体性をもっている。あるいは、そうでなくてはいけない。

・もっとも、目標による締め付けが強すぎては、かえって害を及ぼす。目標は常に期待に基づいている。そして期待は、せいぜいのところ、知識や情報をもとにした推測に過ぎない。

・目標は確実に達成できるとはかぎらず、むしろ方向性を示したものだといえる。命令ではなく方針なのだ。将来を決定づけるわけではなく、将来を切り開くために経営資源を動員し、熱意を引き出すための手段である。

P.F.ドラッカー『マネジメント 第7章』【要約】

‐第7章 企業の目的と使命 まとめ‐

鋭い洞察に裏打ちされた明快かつ簡潔な理論を持つことが、企業を真の繁栄へを導く条件となる。そのためには、「自社の事業は何か、何であるべきか」という問いが必須となる。そして、使命と目的を明確に定めて初めて、現実的な目標群が浮かび上がり、これらを出発点にしてマネジメント層の仕事や組織を検討することが可能となる。

企業の使命と目的に関しての出発点となるのは唯一、顧客である。不合理な消費者などいないことを前提に、顧客の価値観、ウォンツ、現実を体系的に検討すること。将来の事業を考える際には、重要トレンドである人口動態や、市場の変化、自社によるイノベーションも考慮する必要がある。

新事業への参入を計画的に進めるのと同様、自社の目的や使命にそぐわなくなった事業、顧客に満足をもたらさなくなった事業、あるいは大きな貢献をしなくなった事業からの撤退も重要である。これらを下地として、以下の問いに答えていくこと。

  1. 「自社の事業は何か、何であるべきか」
  2. 「顧客は誰か」「顧客はどこにいるか」「顧客は何に対価を支払うのか」「何が顧客にとっての価値か」
  3. 「将来の事業は何だろうか。事業の特徴、使命、目的に大きな影響を与えそうな環境変化のうち、すでに起きているものは何か」「今の時点では、これらの予想内容を、事業についての理論、目標、戦略、仕事の割り振りなどにどう織り込むべきか」
  4. 「消費者のウォンツのうち、現状の製品やサービスでは満たされていないものは何か」
  5. 「何をこれからの事業にすべきだろうか」

 

本章からの抜粋は以下とした。

1. 事業についての理論

・鋭い洞察に裏打ちされた明快で簡潔な理論を携えていることこそ、企業を真の繁栄へを導く条件である。・・・(中略)・・・企業にとっては、事業についての理論を考え抜き、説明することが欠かせない。そのためには、目的と使命がはっきりと定まっていなくてはいけない。「自社の事業は何か、何であるべきか」という問いが必須なのである。

・事業についての理論を携えていてたとしても、その中身は古くなっていく。それも瞬く間に古びていく。このため、自社を支える基本概念が明快に、歯切れよく表現されていない限り、企業はその時々の出来事に翻弄される。

・使命と目的を明確に定めて初めて、現実的な目標がくっきりと浮かび上がってくる。その目標を土台にして優先順位、戦略、プラン、仕事の割り振りなどを決めると、これらを出発点にして、マネジメント層の仕事、さらにはその組織を検討できる。

2. 起業家にまつわる誤り

・過去の組織とはきわめて対照的に、今日の企業、さらには病院や政府機関などでは、事実上すべての階層に、優れた知識や技能を持つ人材が大勢揃っている。知識や技能の水準が高いと、その影響は、どのように仕事に取り組むかといった判断にも及ぶ。彼らは、正規の組織形態がどうであれ、必然的にリスクを伴う判断、つまりは事業判断を下す。

・このようにして、会社とその業績い影響を及ぼす判断を、最下層の近くまで含めて、あらゆる組織階層の人々が下すようになった。何を行い、何を避けるべきか。何を続け、何を止めるべきか。市場、製品、技術のうち、どれに力を入れ、どれを切り捨てるべきか。昨今では、これらのリスクを伴う判断を、高い肩書を持たない大勢の人々が日常的に下している。

3. 「自社の事業は何か」という難問

・「自社の事業は何か」はほぼ例外なく難問であり、たいていの場合、答えは決して明らかではない。

・「自社の事業は何か」という問いの答えを導くのは、経営トップが真っ先に果たすべき責務である。実際のところ、あるポストが経営トップの一角を占めるかどうかを知るには、そのポストに就く人間がこの問いに答えようと心を砕いているか、その責任を負っているか、探ってみればよい。・・・(中略)・・・もっとも、経営陣がこの問いを持ち出すことに二の足を踏むのも、理由がないわけではない。何より、これを持ち出すと意見の対立や議論が起こるのだ。・・・(中略)・・・答えは必ず、目標、戦略、組織、行動などの変化につながる。

・経営層のあいだに意見の食い違いがあった場合、それを表面化させるのがなぜ重要かといえば、唯一の正しい答えなど決して存在しないからである。・・・(中略)・・・「もっともらしいから」というだけで答えを出したり、速やかに、あるいは容易に答えを導いたりすることは、何としても避けなくてはいけない。

4. 意見よりも手法が重要

・企業の使命と目的に関しては、焦点あるいは出発点となるのは唯一、顧客だけである。顧客が事業のあり方を決めるのだ。

・しかし、顧客にとっては、どの製品やサービスも、もとよりどの企業も、大して重要ではない。エグゼクティブは、顧客は何時間もかけて自社製品について語り合っているはずだ、と思いがちである。だが、仲間どうしで洗濯物の白さを話題にしたことのある主婦など、果たしてどれだけいるだろうか。

・顧客にとって関心があるのは、自分の価値観、ウォンツ、現実だけである。

5. 顧客は誰か ~ 何が顧客にとっての価値か

・企業の目的と使命を考えるうえで真っ先に考えるべき必須の問いは、「顧客は誰か」である。・・・(中略)・・・「顧客はどこにいるか」という問いも重要である。・・・(中略)・・・次の問いは「顧客は何に対価を支払うのか」である。・・・(中略)・・・最後の問いは、「何が顧客にとっての価値か」である。

・不合理な消費者などいない。これは大切なルールである。顧客は、それぞれの現実と状況のもとで、必ずと言ってよいほど合理的に行動する。

・顧客は決して製品そのものを買い求めているのではない。間違いなく、ウォンツの満足を買っているのだ。

・さまざまな顧客が何に価値を見出すかは、あまりに複雑なテーマであり、答えられるのは当の顧客だけだろう。マネジャー層は、答えを推測しようとすらすべきではない。答えを体系的に追い求め、その一環として、必ず顧客にじかに問いかけるべきである。

6. 「自社の事業は何か」を問うべきタイミング

・「自社の事業は何か」が問われるのは、たいてい危機に瀕したときだろう。もちろん危機に陥ったなら、この問いかけは必須である。

・企業は産声を上げた時にはもう、「自社の事業は何か」を考えているべきである。成長への志を持つなら、なおさらだろう。

・業績が波に乗っている時こそ、「自社の事業は何か」と自らに問いかけなくてはいけない。・・・(中略)・・・実際のところ、事業が好調な間に「自社の事業は何か」を問わない経営層は、うぬぼれ、怠惰、傲慢などのそしりを免れない。栄光から一転、奈落の底へ落ちていく日も遠くないだろう。・・・(中略)・・・何よりもまず、目標を達成できた暁には、経営層は必ず「自社の事業は何か」を真剣に考えなくてはいけない。

7. 自社の将来の事業は何か ~ 埋もれたままの顧客ウォンツ

・「自社の事業は何か」という問いに非の打ちどころのない答えを見つけたとしても、その答えは早晩、時代遅れになる。・・・(中略)・・・合わせて次の問いかけも必要となる。「将来の事業は何だろうか。事業の特徴、使命、目的に大きな影響を与えそうな環境変化のうち、すでに起きているものは何か」「今の時点では、これらの予想内容を、事業についての理論、目標、戦略、仕事の割り振りなどにどう織り込むべきか」

・ここでもまた、出発点は市場、すなわち市場の可能性とトレンドである。・・・(中略)・・・最も重要なトレンドは人口動態だが、これに大きな注意を払う企業は皆無に近い。・・・(中略)・・・将来に関して、本当の意味での予測が成り立つのはただひとつ、人口の変化だけなのだ。

・なお、経営層は「消費者のウォンツのうち、現状の製品やサービスでは満たされていないものは何か」と自問すべきである。

8. 「何をこれからの事業にすべきだろうか」

・「何をこれからの事業にすべきだろうか」という問いも忘れてはならない。

・この問いを避けてとおる企業は、大きな事業機会を見逃すだろう。・・・(中略)・・・この問いに答えるうえでは、まずは社会、経済、市場の変化を考慮しなくてはいけないが、その次には当然ながら、自社によるイノベーションを考えに入れる必要がある。

・「当社の事業は何か」にとどまらず、「何をこれからの事業にすべきだろうか」と問うべき陰には、決して見過ごせない独特の理由がある。「不適切な事業規模」である。

9. 計画的な撤退や縮小の必要性

・新しい事業への参入を計画的に進めるのも重要だが、同じく、古い事業からの撤退についても、計画的に進めなくてはいけない。自社の目的や使命にそぐわなくなった事業、顧客に満足をもたらさなくなった事業、あるいは大きな貢献をしなくなった事業からの撤退である。

・これらの問い(有用性に関する問い。筆者追記)を真剣に、体系的に追及しない限り、そして、その答えを受けて経営層が行動を起こさない限り、「自社の事業は何か、今後は何が事業になるだろうか、何を事業にすべきだろうか」という問いに対しては、どう頑張ったところで、聞こえはよいがありきたりな答えしか出てこない。過去の成り行きを改めて言葉に表すことに、精力を使い果たすだけであろう。

・自社の目的や使命を定めるのは容易ではなく、痛みやリスクを伴う。しかし、目標を掲げ、戦略を決め、特定の分野に経営資源を集中し、事業を前に進めるためには、これが唯一の道である。マネジメント成果をあげるには、これ以外に道はない。

 

P.F.ドラッカー『マネジメント 第6章』【要約】

‐第6章 企業とは何か まとめ‐

企業活動とはマーケティングイノベーションを通して顧客を創造すること。この解釈に従うと、企業のマネジメントは必然的に起業家的な性質を持つ。従って、経営陣は適応よりも創造に努めること。環境への受け身での対応ではなく、変革を志向するほどマネジメントに取り組む度合いは大きいといえる。また、成果を確かめるのには利益を測るほかない。社会に安心や恩恵をもたらす活動も利益によって賄われていることや、利益が企業の行動と意思決定の制約条件となる以上、利益の正当化に釈明など不要である。

 

本章からの抜粋は以下とした。

1. 企業は人によって生み出されマネジメントされる

・「マネジメントは市場の風向きにうまく順応するだけだ」という主張をしばしば耳にするが、これほど愚かしい考え方はないだろう。マネジメントは風向きを見極めるだけでなく、それをみずから左右しなくてはいけない。

・企業とは何かを問われれば、たいていの企業人は「利益をあげるために存在する組織」と答えるだろう。・・・(中略)・・・だが、この答えは誤っているばかりか、不適切である。・・・(中略)・・・それ自体が目的ではなく、むしろ企業とその活動を制約する条件だと言える。・・・(中略)・・・あらゆる企業にとっての第一の試金石は、利潤を最大化できるかどうかではなく、経済活動のリスクを補い損失を避けられるだけの、十分な利益を上げているかどうかである。

・社会に貢献するには、高い収益性の実現が欠かせない。率直に述べれば、破産した企業は働く先としてふさわしいとはいえず、近隣や地域社会の一員としても好ましくないだろう。

2. 企業の目的 ~ 販売からマーケティング

・企業の目的として妥当な中身はただひとつ、「顧客を生み出すこと」である。

・社会は、富を生み出すための資源を企業に託しているが、これは顧客のウォンツとニーズに応えさせるためなのだ。

・企業が顧客を生み出すことを目的としている以上、その主な役割はマーケティングイノベーションの二つに限られる。マーケティングイノベーションは成果をもたらすが、そのほかのすべてはコストしか生み出さない。

マーケティングは全社の柱をなす分野なのだ。企業全体を成果の最終的な到達点、つまりは顧客の視点から眺めたものがマーケティングなのである。従って、マーケティングへの関心や責任は、社内のすべての分野で共有しなければならない。

・「自分たちは何を売りたいか」ではなく、「お客様は何を買いたいと考えているか」と問い、「これが製品・サービスの用途です」ではなく「お客様が探し求め、重んじる満足がここにあります」と訴える。

・販売へのニーズは何かしら常にあるだろう。だが、マーケティングの狙いは、販売努力を不要にすることにある。

3. 企業は経済の成長と発展の申し子である

・経済が拡大して初めて、あるいは少なくとも、変化が自然なものとして受け入れられて初めて、企業は成り立つ。企業とは、成長、拡大、変化の申し子なのである。ここから、企業の第二の役割はイノベーションだといえる。

・最も実り多いイノベーションは、すでにあるものを改善するのではなく、従来とは違う製品やサービスを生み出し、新しい満足の可能性を開く。

・特筆するに値するのは、イノベーションは発明とは異なるという点である。技術ではなく、経済性の問題なのである。

・目的に沿って体系立ててイノベーションを実現するのは、個別の職能に閉じない全社の仕事である。加えて、マネジメントを担うすべての部門が、イノベーションに責任を負い、イノベーション目標を定めるべきだ。

イノベーションを定義すると、「より大きな富を創造できる新しい力に、人材や原材料を充てること」といえるだろう。

・このようにイノベーションは、経済を発展させるカギだといえる。経済を発展させるのは、起業家的な務めなのだ。

4. 富の創造につながる資源を最大限に活かす

・生産性とは、最小限の労力で最大限の算出を得るための、すべての生産要素の組み合わせを意味する。

・経済発展の原動力は、「頭脳形成」の速度である。・・・(中略)・・・重要なのは、業務の性質が、理論的な分析や概念的なプランニングは必然だが設備投資を伴わないものへと、がらりと変わったことによる効果である。

・労働から資本へ、労働と資本から知識へと比重が移ることにより、生産性にどのような影響が生じるかを測れるように、尺度を設けなくてはいけない。

5. 利益の役割

・利益は成果を確かめるのに役立つ。成果を確かめるのには利益を測るほかない。(利益の第一の役割。筆者追記)

・利益には第二の役割があり、これもまた第一の役割と同じくらい重要である。利益は、不確実性というリスクをとった褒美でもあるのだ。・・・(中略)・・・将来に関してただひとつ確かなのは、不確実性というリスクがあることだけだ。

・将来に向けてよりよい仕事を多くもたらすのは、利益だけである。・・・(中略)・・・最後に、保健・医療、国防、教育、オペラなど、実利的な安心や恩恵をもたらす活動も、利益によって賄われている。

・利益は経済や社会にとって必要なものであり、これに関しては釈明など不要である。・・・(中略)・・・百歩譲ったとしても、企業は最小限の利益を必要とする。将来のリスクに備えるための利益。事業を続け、富を生み出す能力を経営資源に保持させておくための利益。この必要最小限の利益が、企業の行動と意思決定に枠をはめる、あるいは、実行可能性を検証するといった作用をする。

 

P.F.ドラッカー『マネジメント 第5章』【要約】

‐第5章 企業のマネジメント:シアーズ・ローバックの事例 まとめ‐

ケーススタディのため、以下、重要点の抜粋のみとした。

 

ビジネススクールケーススタディで取り上げるのは、たいていは失敗例、もしくは何らかの問題を抱えた事例である。しかし、成功例を検討すればより多くを学べるだろう。何を避けるべきかよりも、何をなすべきかを学ぶ方が、はるかに重要である。

シアーズの事例から得られる最大の教訓は、何が正しい答えであるかは、結果が出る前には決して分からない、ということだ。

・さらに重要な教訓として、正しい答えは明晰さや「直感」から生まれるのではない、とわたしたちに教えてくれている。・・・(中略)・・・適切な答えは、適切な問いかけから導き出される。そして適切な問いかけをするためには、企業とは何か、自社の本質は何かを、真剣に、体系的に理解しようと努めなくてはいけない。

 

【筆者追記】

1974年出版時のケーススタディ。現在であれば、シアーズ・ローバックではなくAmazonでしょうね。