-第27章 企業と政府 まとめ-
第3節「指針」が実質のまとめのため割愛。
本章からの抜粋は以下とした。
1. 社会的責任の重要分野 ~ モデルと現実
・企業にとって、政府との関係は、あらゆる関係性のなかで最も重要である。・・・(中略)・・・企業と政府の関係は、社会問題でもある。なぜなら、すべての主要国において、企業と政府のあいだには溝が出来ているのだ。
・いずれは、組織を柱とした社会の現実やニーズにふさわしい、新しい政治理論が必要となるだろう。
・暫定的な解決策を考え出し、それを見守るのは、主としてマネジャーの仕事である。・・・(中略)・・・このような責任を果たすためには、マネジャーは何より、政府と産業の関係の裏にある歴史的背景を理解しなくてはならない。
・政府と産業の関係の指針となったのは、二つのまったく異なる政治モデルだった。重商主義と立憲主義である。
・重商主義モデルにおいては、経済は政治的支配力、とりわけ国の軍事力の土台とされ、国の経済と主権は重なり合うものだと考えられた。・・・(中略)・・・立憲主義モデルは、十九世紀に主としてアメリカで発展した。このモデルでは、政府は基本的に企業と対立関係にあるとされる。
・重商主義、立憲主義はともに、政治や行政に関する机上のモデルである。あくまでも「べき論」を示したものであり、現実は常に、モデルの掲げる理想にははるかに及ばない。
2. 新たな課題
・新たな課題のうちで何よりも重要なもの、少なくとも何より顕著なものは、以下の要因にによって引き起こされてきた。
- 混合経済
- 多国籍企業
- 政府の相対的地位の低下
- 専門的経営者の台頭
3. 指針
・たとえ解決策が見つからず、新しい政治理論も、より適切な新モデルもなかったとしても、個々の問題には対処しなくてはならない。求められるのは「要件」である。
- 社会において経済を担う組織、つまり企業とその経営者には、①経済の利益のために、②政府が強大な力をもって高い成果をあげるために、③社会の利益のために、自律性と責任が欠かせない。
- 政府が健全に機能すること
- (多国籍企業に)何が求められているかといえば、文字どおりの世界経済と政治主権を平和的に共存させ、両方が守られるような関係性を考え出すこと
- 政府と企業の関係をじっくり考える必要があるが、それは、企業が危機に瀕しているからではない。深刻な危機に陥っているのは政府である。・・・(中略)・・・具体的な問題への・・・(中略)・・・答えは、以下のような最低限の要件を満たしているべきである。➀企業とそのマネジメント層の自律性と責任を保つ、②自己革新の力を持った、自由で柔軟な社会を守る、③多国籍企業が活躍する世界経済と、国民国家の主権とを、うまく調和させる、④政府が力を発揮して成果をあげるよう後押しする。
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