P.F.ドラッカー『マネジメント 第29章』【要約】

-第29章 なぜマネジャーが必要なのか まとめ-

マネジャーは、企業を支える経営資源である。マネジャーがどれだけ優れたマネジメントをするか、どれだけ見事にマネジメントされるかによって、その会社が目標達成の可否も決まる。複雑さの増大に従って経営者としてマネジメントが必要となり、その成果しだいによって、企業が生き残るか消え去るかも決まってしまう。企業はマネジャーなしには存在できない。

 

本章からの抜粋は以下とした。

1. 企業にとってのマネジャーの重要性 ~ フォードの興隆、衰退、そして再生

・マネジャーは、企業の屋台骨を支える経営資源である。・・・(中略)・・・たいていの企業にとっては、マネジャーは何よりも高価な経営資源である。しかも、何より早く価値が衰えるため、頻繁に入れ替えなくてはならない。

・マネジメント・チームを育てるには何年もかかるが、少しのあいだ扱いを誤っただけで、期待通りの成果をあげなくなる。

・マネジャーがどれだけ優れたマネジメントをするか、どれだけ見事にマネジメントされるかによって、その会社が目標を達成できるかも決まる。というのも、働き手の姿勢は、マネジメント層の姿勢を映し出す。マネジメント層の能力や組織をじかに反映するのだ。

・マネジャーが上役との関係を第一に考えるのは正しい。マネジャーの地位就くと、企業業績への責任の一端を担うことになる。この責任を引き受けるよう期待されていない人は、マネジャーとは言えない。

2. ゼネラルモーターズGM)ー反証のための事例 ~ フォードの教訓

・フォードが「マネジャーは不要である」という考えを証明しようとしていたころ、ゼネラルモーターズの社長に就任したばかりのアルフレッド・P・スローン・ジュニアは、まったく逆の考え方を試し始めた。・・・(中略)・・・事業と組織はどうあるべきかを考え抜き、無規律な”封建領主”たちを経営チームへとまとめあげた。

・フォードの事例からは、経営者とマネジメントは、企業を支える独特の要素であり、決して欠かせないものである、という教訓が得られる。企業はマネジャーなしには存在できない、と断言できるだろう。

・ある時点からは、「自分の事業」を動かす状態から、「企業体」の経営への移行が起きる。つまり、従来とは異なる組織と原則が必要になる。経営者とマネジメントが欠かせなくなるのだ。・・・(中略)・・・マネジメントとはもともと、複雑な大企業のために考えられた仕組みなのだ。

3. 「相変化」としてのマネジメント

・オーナー創業者が「補佐役」に助けられながら会社を経営する段階から、マネジメントを必要とする段階へと変化する様子は、物理学でいう「相変化」に喩えることができる。

・企業はいつの段階で「外骨格」から「脊椎」へと相変化するのだろうか。従業員数でいえば、おそらく三〇〇人から一〇〇〇人のあいだだろう。だが、規模にもまして、複雑さの増大の方が大きな意味を持つと思われる。多彩な仕事を、うまくコミュニケーションを図りながら、歩調を合わせてこなすためには、経営者としてマネジメントが必要となる。さもなければ、コントロールが効かなくなる。・・・(中略)・・・ほどなく坂道を転げ落ちていく。

・(フォード他は)マネジャーを嫌った。その結果、マネジャーをうまく管理せず、適切な仕事を与えず、彼らの心に猜疑心やフラストレーションを芽生えさせた。組織づくりに失敗し、マネジメント層の人材を活かせないままに終わったのだ。従ってマネジメント層には、うまく仕事をこなすか、失敗するか、どちらかの道しかない。

・ただし、仕事そのものを避けるわけにはいかない。そして、その成果しだいで、企業が生き残って繫栄するか、あるいは衰退していずれ消え去るかが決まる。

 

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