P.F.ドラッカー『マネジメント 第30章』【要約】

‐第30章 マネジャーの本質とは何か まとめ‐

マネジャーの本質は何か、誰をマネジメント層と見なすべきかは、じっくり考えなくてはならない。その際には、従来の定義から出発せずに仕事そのものに着目して分析を行うことが重要となる。プランニング、段取り、全体の取りまとめ、成果測定などがマネジャーの仕事と見なすことが出来る。また、組織の中で誰がマネジメント責任を負っているかを見極める第一のモノサシは、貢献への責任である。権限というよりも役割こそが、判断基準、そして組織原則とされるべきである。

 

本章からの抜粋は以下とした。

1. 従来の定義 ~ マネジャーの新たな定義

・マネジメント草創期には、ほかの人々の仕事に責任を持つのがマネジャーだと定義されていた。・・・(中略)・・・しかし、この定義はおよそ満足いくものではなかった。というよりも、満足のいくような定義などありえないのだ。

・従来の定義はまた、職務そのものではなく、職務をこなすためのルールに焦点を当てている。

・マネジャーの本質は何か、誰をマネジメント層と見なすべきかは、じっくり考えなくてはならず、しかもことは緊急を要する。

・従来の定義から出発せずに、仕事そのものに着目して分析を行うと、「部下たちの仕事に責任を負う」というこれまでの定義は、マネジャーの主たる特徴ではなく、従たる特徴に焦点を当てているという、という結論にたどり着くに違いない。

・プランニング、段取り、全体の取りまとめ、成果測定などがマネジャーの仕事と見なせるだろう。・・・(中略)・・・何より、結果を出すためには、自分の仕事の成果を応用する立場にある他分野や他職能の人々とも、横方向の足並みを揃える必要がある。

・同じく、「マネジャー」は下方向、つまり部下の仕事との整合も考えなくてはならない。従来のマネジャーの定義は、この点を重視しているのだ。部門が成果を出すうえでは、周囲の人々と足並みを揃えることが最も重要だが、これは横方向の関係にあたり、自分の管理権限が及ばない相手と共同歩調をとることを意味する。

・組織の中で誰がマネジメント責任を負っているかを見きわめるうえでは、「部下を指揮しているかどうか」は第一のモノサシにはなりえない、という点を強調しておいた方がいいだろう。第一のモノサシはむしろ、貢献への責任である。権限というよりも役割こそが、判断基準、そして組織原則とされるべきである。

・このような人を何と呼べばいいのか。・・・(中略)・・・最も望ましいのは・・・(中略)・・・「マネジメント・グループ」を意味する一般的な表現をそのまま活かすことだろう。

2. プロフェッショナル ~ プロフェッショナルの肩書、役割、報酬

・プロフェッショナル、とりわけスペシャリストは、マネジャーを必要とする。・・・(中略)・・・マネジャーが「周りの納得を引き出せないかぎり、仕事の効果はあがらない。納得を引き出すためには、『顧客』、つまり、組織内のほかの人たちのニーズ、仮説、限界などを探ることが欠かせない」とスペシャリストに理解させなくてはいけない。

・本物のプロフェッショナルはある意味、マネジャーよりも「優位」にいるだろうし、それがあるべき姿である。

・マネジャーとプロフェッショナルの肩書き、役割、報酬をどうするか、という厄介な問題に関しては、完全な解決は望みようがない。・・・(中略)・・・各人の役割と組織内での立場をはっきり区別するような、階級や肩書きの体系が求められる。

・マネジメント層を形成するマネジャーとプロフェッショナルに対して、要求内容に違いを設けてはいけない。マネジャーは、より多面的な責任や成果が求めれられるという一点を除いてはプロフェッショナルと変わらない。

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