P.F.ドラッカー『マネジメント 第31章』【要約】

‐第31章 マネジャーとその仕事 まとめ‐

マネジャーの仕事はふたつある。ひとつは、個を全体へまとめあげ、この総和以上の生産性を引き出す仕事である。マネジャーは人材の強みを活かし、弱みを軽減することが求められる。ふたつ目は、判断を下したり、行動を起こしたりする際には必ず、当面と将来の要請をうまく調和させる、というものである。そして、マネジャーの仕事は五つの基本的要素からなり、それらの歩調が揃うと、様々な経営資源がひとつにまとまる。

(1)目標の設定

(2)組織づくり

(3)動機づけやコミュニケーション

(4)業績評価

(5)人材育成

マネジャーがうまくこなすべき仕事は学ぶことができる。ただし、ひとつだけ、誰からも学べない資質がある。天賦の才能ではない。人格である。

 

本章からの抜粋は以下とした。

1. マネジャーはどのように仕事をこなすのか

・マネジャーの具体的な仕事はふたつある。ひとつは、個を全体へまとめあげ、この総和以上の生産性を引き出す仕事である。・・・(中略)・・・マネジャーには、手持ちの経営資源、とりわけ人材の強みを活かし、弱みを軽減することが求められる。全体を本当の意味でひとつにまとめるためには、これしか方法はない。

・企業には主なだけでも、事業マネジメント、働き手と仕事のマネジメント、地域や社会との関係性のマネジメントという役割があり、マネジャーはこれらをうまく調和させなくてはいけない。

・全体をまとめあげるためには、何をするにしても、➀全社の活動ぶりや業績と、②成果をあげるために歩調を合わせながら進めるいくつもの取り組みを、同時に考慮しなくてはならない。

・マネジャーの仕事のふたつ目は、判断を下したり、行動を起こしたりする際には必ず、当面と将来の要請をうまく調和させる、というものである。・・・(中略)・・・これらふたつの側面を完全に調和させるのは不可能だとしても、せめて釣り合いは取らなくてはいけない。・・・(中略)・・・ふたつの時間軸に沿って活動しながら、自分の部署と会社、両方の業績に責任を負うのだ。

2. マネジャーの仕事

・マネジャーの職務には、科学的管理法による体系的な分析を応用できる。・・・(中略)・・・マネジャーの仕事は五つの基本的要素からなる。それらの歩調が揃うと、様々な経営資源がひとつにまとまり、生命体のように成長していくのだ。

  1. 目標の設定である
  2. 組織を取りまとめる
  3. 部下の動機づけとコミュニケーションを担う。さまざまな職務に責任を負う人々を、チーム別に編成する
  4. 業績評価がある
  5. 人材の育成に取り組む。ここには自身の能力開発も含まれる

・これらに魂を吹き込み、具体的で意味のあるものにするものは、マネジャーの経験だけだ。

3. 人材はマネジャーにとって経営資源である

・マネジャーは、人材という特殊な経営資源とともに仕事をする。人材は特殊な資源であるため、一緒に仕事をする人たちにも独特の資質が求められる。人間を「働かせる」以上は、必ず相手の能力を伸ばすことになる。どの方向に伸ばすかによって、相手が人間として、そしてまた経営資源として、果たして生産性を高めるか、それともまったくあげられないかが決まる。

・人材を育成するためには根本的な資質が求められ、その資質は、技能を身につけさせたり、人材育成の大切さを訴えたりしたところで、生み出すことはできない。その資質とは、人間としての誠実さである。

・最近では、人々に愛情を注ぎ、手を差し伸べ、うまく接することがマネジャーの要件だとしきりに説かれている。だが、それだけでは決して十分ではない。・・・(中略)・・・部下に対しても自分に対しても、仕事への厳しさを要求する。高い基準を示し、その基準が満たされるよう期待する。

・「何が正しいか」だけを考え、「誰が正しいか」などという点は決して問題にしない。自身はたいて頭脳明晰だが、他人を評価する際に、誠実さよりも頭の良さを重視することはない。このような資質を欠いたマネジャーは・・・(中略)・・・厄介者である。「マネジャーとしてふさわしいとはいえず、紳士でもない」という評価を下すべきである。

・マネジャーがうまくこなすべき仕事は学ぶことができる。ただし、ひとつだけ、誰からも学べない資質がある。後からでは身につけられず、あらかじめ備えていなくてはならない要件がある。といっても、天賦の才能ではない。人格である。

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