P.F.ドラッカー『マネジメント 第8章』【要約】

‐第8章 目標の威力と狙い まとめ‐

マークス・アンド・スペンサーのケーススタディ。確認項目の羅列が多いため、抜粋のみとした。

【筆者追記】

本来の目標管理(MBO)のフレームはかくあるべしといった内容です。ポイントを外すと、形骸化しやすい施策のため反省しきりでした。

1. 教訓

・事業目的は何か、目的と使命は何か、という問いの答えは、目標に反映させなくては意味がない。・・・(中略)・・・M&Sの事例からは、目標の要件が見えてくる。

  1. 目標は、「自社の事業は何か、何であるべきか」という問いをもとに決めなくてはならない。絵に描いた餅であってはいけないのだ。
  2. 目標は実務に根差していなくてはならない。具体的な達成内容や仕事への割り振りへと落とし込めなくては意味がない。
  3. 目標は、経営資源や努力を特定分野に集中するのに役立たなくてはいけない。
  4. 目標はひとつではなく、複数であるべきだ。MBOをめぐる議論が盛んだが、その多くは「唯一最善の目標」を探し求めようとしている。これは賢者の石を追い求めているのと同じくらい不毛であるばかりか、誤った方向づけにつながる有害な試みである。
  5. 企業の生き残りを左右するすべての分野に目標を設ける必要がある。

・企業は皆、以下の主要八分野について目標を定めなくてはならない。

  1. マーケティング
  2. イノベーション
  3. 人的資源
  4. 財務資源
  5. 物的資源
  6. 生産性
  7. 社会的責任
  8. 必要利益

・これらの主要分野の目標を立てると、以下の五つが可能になる。

  1. 少数の包括的なメッセージにより、事業上のあらゆる出来事をひとまとめにして説明する。
  2. それらのメッセージが正しいかどうか、実績に照らして検証する。
  3. 行動を予測する。
  4. 意思決定を下す過程で、決定の中身が正しいかどうかを見極める。
  5. あらゆる階層のマネジャーに自分の経験を分析させ、その結果をもとに成果を向上させる。

2. 業務と役割分担の土台としての目標 ~ 目標の活かし方

・具体的な目標のない分野は、見過ごさせるだろう。何を測定すべきか、何を測定尺度にするのか、などを決めておかないかぎり、その分野そのものが忘れ去られるだろう。

・目標といっても、単なる努力目標では意味がない。業務へと落とし込めなくてはいけないのだ。業務は必ず、期限があり、責任者がおり、測定可能なわかりやすい結果につながるなど、具体性をもっている。あるいは、そうでなくてはいけない。

・もっとも、目標による締め付けが強すぎては、かえって害を及ぼす。目標は常に期待に基づいている。そして期待は、せいぜいのところ、知識や情報をもとにした推測に過ぎない。

・目標は確実に達成できるとはかぎらず、むしろ方向性を示したものだといえる。命令ではなく方針なのだ。将来を決定づけるわけではなく、将来を切り開くために経営資源を動員し、熱意を引き出すための手段である。