P.F.ドラッカー『マネジメント 第21章』【要約】

‐第21章 責任意識の強い働き手 まとめ‐

働き手に責任を引き受けるよう求め、それに応えてもらうためには(1)生産的な仕事、(2)フィードバック情報、(3)たゆまぬ学習が求められる。企業とマネジャーにはこれらを設計する責務がある。そして、自分の業務とチームへの責任、組織全体の成果や業績への責任、職場コミュニティの社会的任務への責任を誰もが引き受ける組織を築き、率いていくという仕事も残されている

 

本章からの抜粋は以下とした。

1. 業務に焦点を当てる ~ 自己管理のためのフィードバック

・働き手に責任を引き受けるよう求め、それに応えてもらうためには、企業とマネジャーには何が必要か。焦点は、業務に当てなければならない。業務の中身を、達成意欲を満たするものにしなけれあならない。

・このためには、(1)生産的な仕事、(2)フィードバック情報、(3)たゆまぬ学習が求められる。仕事を研究せず、業務プロセスを統合せず、満たすべき基準やコントロールのあり方を十分に検討せず、情報ツールを設計しないまま、「仕事に責任を持つように」とただ求めるのは、愚かであるばかりか、経営層の無能さの証である。

・これは、「ひとりひとりの創造性を活かそう」という、手を変え品を変え登場する昔ながらのスローガンにも反する。・・・(中略)・・・創造性は、分析や知識の代わりにはならない。

・責任を果たすには自己管理が欠かせない。そのためには、基準値に対して実績がどの程度か、折に触れて情報を得る必要がある。・・・(中略)・・・情報は業務に根差し、業務に焦点を当てたものでなくてはいけない。そして何より、働き手のツールとして役立つ情報である必要がある。目的は、あくまでも働き手の自己管理であり、周囲のコントロールでも、ましてや操作でもない。

・フィードバック情報は、働き手が自己評価と方向づけを行うためのツールの役割を果たす。これこそがまさしく、フィードバック情報の真価であり、働き手の力の源泉でもある。

 

2. たゆまぬ学習 ~ 知識労働

・(たゆまぬ学習に)組織的な取り組みは欠かせない。働き手に対して絶えず以下のように問いかけなくてはいけない。「自分とみんなの業務の生産性は業績を上げ、より大きな達成感をもたらすために、何を吸収したか。どのような知識、ツール、情報が必要か。新しいニーズに応え、新しい業務能力を身につけ、新しい手法を使いこなすためには、どのような備えが最もふさわしいか」

・三つすべての領域のプランニングに、最初から働き手を巻き込んでおく必要がある。

・働き手が仕事への責任を引き受けるに当たっては、もうひとつ、明確な権限関係に守られている、という条件が欠かせない。

・(チームが目標水準を上回る実績をあげるのは)これは別に、仕事が楽しくなったからではないし、仕事は楽しいものであるべきではない。心理面の役割が大きいのは確かだが、モチベーションだけが要因でもない。なぜ働き手が業務やチームの設計に責任を持つのが望ましいかといえば、彼らは自分が得意とする分野の知識や経験を活かすからである。

 

3. 職長の救済 ~ 自治的な職場コミュニティ

・職長が本来の役割を健全に果たせる状態を取り戻すためには、業務と作業チームへの責任をそれぞれの働き手に負わせるのが、最適な、そしておそらくはただひとつの方法だろう。

・誰もが、自分の業務とチームへの責任、組織全体の成果や業績への責任、職場コミュニティの社会的任務への責任を引き受ける組織を築き、率いていくという仕事が残されている。

 

▼【告知】読書会開催しています▼

第2回 ドラッカー読書会 - 働く戦闘力を解放する