【要約】第7章 成果をあげる意思決定とは

‐第7章 成果をあげる意思決定とは まとめ‐

成果をあげる意思決定は意見(仮説)からスタートすること。現実に仮説を検証する際には有意性の基準を問い、評価測定の基準を厳しく設定すること。意思決定の際には、共通の理解と、対立する意見、競合する選択肢をめぐる検討のため、意見の不一致が存在しないときには決定を行うべきではない。また、コンピュータの影響は、単なる対応ではなく、極めて多くの者が真の意思決定を必要とするようになること、および現場責任者から意思決定者に変えることにある。

 

本章からの抜粋は以下とした。

1. 正しい意思決定の要件

・文献のほとんどが、まず事実を探せという。だが、成果あげる者は事実からスタートできないことを知っている。誰もが自分の意見からスタートする。しかし、意見は未検証の仮説にすぎず、したがって現実に検証されなければならない。

・正しい決定は、共通の理解と、対立する意見、競合する選択肢をめぐる検討から生まれる。

・最初に事実を把握することはできない。有意性の基準がなければ事実というものがありえない。事実というものは事実ではない。

・決定的に重要な問いが「有意性の基準は何か」である。この問いへの答えから、検討中の意思決定に必要な評価測定の基準が得られる。

・決定において最も重要なことは、意見の不一致が存在しないときには決定を行うべきではないということである。

 

 【意見の不一致が必要な理由】

  1. 組織の囚人になることを防ぐ。各人の特別な要請や意図から脱する唯一の方法。
  2. 選択肢を与える。選択肢がなければ、決定が有効に働かないことが明らかになったとき途方に暮れる。
  3. 想像力を刺激する。想像力、すなわち知覚と理解が新しい状況を作り出すために必要となる。

・意見の不一致はっもっともらしい決定を正しい決定に変え、正しい決定を優れた決定に変える。

・反証がない限り、反対する人も知的で公正であると仮定しなければならない。

・意思決定は本当に必要かを自問する必要がある。何もしないという代替案が常に存在する。不要な意思決定を行ってはならない。

・決定も行うか行わないかである。半分の行動はない。半分の行動こそ常に誤りである。必要最低限の条件、すなわち必要条件を満足しえない行動である。

・決定はほぼ完了した。しかし、決定の多くが行方不明になるのはここである。決定が愉快ではなく、評判も良くなく、容易でないことが急に明らかになる。

・ここで絶対にしてはならないことがある。もう一度調べようとの声に負けることである。それは臆病者の手である。臆病者は勇者が一度死ぬところを一〇〇〇回死ぬ。

・とはいえ、決定の意味について完全に理解しているという確信なしに決定を急いではならない。「気をつけよ」とささやく内なる声に耳を傾けなければならない。

2. 意思決定とコンピュータ

・コンピュータのおかげで、きわめて多くの人が真の意思決定者、真の執行者とならなければならなくなる。

・コンピュータの強みは、論理的な機械であるところにある。・・・(中略)・・・これに対し、人間は論理的ではない。知覚的である。人は聡明であり洞察力がある。応用力がある。プログラム化していないことを考えることができる。

・今日では、意思決定をする能力は、知識労働者にとってまさに成果をあげる能力そのものである。

・コンピュータを正しく使うならば、組織内部のことにエネルギーをとられていた上層エグゼクティブがそれらの無駄から解放される。その結果、成果の得られる唯一の世界たる外部に出かけ、自らの目でものを見ることができるようになる。

・コンピュータの出現が、意思決定に関する関心に火をつけることになった理由は多い。しかしそれはコンピュータが意思決定を乗っ取るからではない。コンピュータが計算を乗っ取ることによって、組織の末端の人間までがエグゼクティブとなり、成果をあげる決定を行わなければならなくなるからである。