【要約】終章 成果をあげる能力を習得せよ

‐終章 成果をあげる能力を習得せよ まとめ‐

第1章「成果をあげる能力は習得できる」と対になる構成。「できる(十分条件)」から「せよ(必要条件)」への転換。

 

エグゼクティブの自己開発は能力を身につけることだけではない。いかなる知識やスキルを身につけたとしても、最初に成果をあげる能力を向上させておかなければ何の役にも立たない。成果をあげる能力こそ、組織が成果をあげるための条件の一つであり、組織に対し最も重要な貢献を行う。また、知識労働者が主たる資源となりつつある現代では、この能力によって、個人からの貢献を得るという「組織のニーズ」と、自らの目的の達成のための道具として組織を使うという「個人のニーズ」を調和させることができる。故に、成果をあげる能力は修得しなければならない。

 

本章からの抜粋は以下とした。

1. 成果をあげることは使命

・本書は二つの前提に立っていた。(1)エグゼクティブの仕事は成果をあげること。(2)成果をあげる能力は修得できること。

・成果をあげることは教科ではなく、修練である。

・自己開発とは、成果をあげるための能力を身につけることだけではない。・・・(中略)・・・知識やスキルをいかに身につけたのとしても、まず初めに成果をあげるための能力を向上させておかなければ何の役にも立たない。

・組織のニーズは、非凡な成果をあげることのできる普通の人によって満たさなければならない。これこそが成果をあげるエグゼクティブが応じるべきニーズである。

・エグゼクティブの能力の向上は、組織自体の方向付け、目標、目的に対する挑戦を意味する。それこそは働く人の目を、日常の問題から機会のビジョンへと、弱みへのこだわりから強みの発揮へと向けなおす。その結果、高い能力と意欲を持つ人たちに対し、組織自身を魅力ある存在にするとともに、高度の仕事ぶりと献身を動機づけることになる。

・エグゼクティブの成果をあげる能力こそ、組織が成果をあげるための基礎的な条件の一つであり、組織の発展に対し最も重要な貢献を行う。

 

2. 現代社会に不可欠なもの

知識労働者は先進国において急速に主たる資源となりつつある。

知識労働者には貧しさによる問題はない。自己疎外、倦怠、フラストレーション、諦観が問題である。・・・(中略)・・・知識労働者の地位と機能と自己実現が二〇世紀の発展した国にとっての社会問題である。

・われわれは、組織の成果に対する社会の客観的なニーズと、個人の自己実現のニーズの双方を満たさなければならない。

・ここにおいて、成果に向けたエグゼクティブの自己開発こそが、手にしうる唯一の答えである。それは、組織の目標と個人の欲求を合致させる唯一の手段である。

・強みを生かすものは仕事と自己実現を両立させる。自らの知識が組織の機会となるように働く。貢献に焦点を合わせることによって自らの価値を組織の成果に変える。

・エグゼクティブの成果をあげる能力によってのみ、現代社会は二つのニーズ、すなわち個人からの貢献を得るという組織のニーズと、自らの目的の達成のための道具として組織を使うという個人のニーズを調和させることができる。