P.F.ドラッカー『マネジメント 第1章』【要約】

‐第1章 マネジメントの誕生 まとめ‐

マネジメントの誕生は現代において決定的に重要な出来事である。マネジメントとは近代組織に特有の要素であり、組織を中心に発展してきた先進国において組織が成果をあげられるかどうか、存続できるかどうかはマネジメントにかかっている。また、マネジメントとは、職能であり、専門領域であり、果たすべき務めでもある。そして、マネジャーは、この専門領域の実践者として職能を活かし、務めを果たす。

 

本章からの抜粋は以下とした。

1. 組織を柱とした社会 ~ 組織に雇われる生き方が中心に

・この50年というもの、先進国の社会はどこもみな組織を柱として発展してきた。・・・(中略)・・・現代社会が発展するかどうかは、これら組織の成果にかかっており、その傾向は強まりつつある。

・先進国ではどこでも、いまや雇い人が人口の多くを占めている。彼らは組織に雇われ、生計や機会を組織に頼る人々である。成果や充足はもとより、社会での役割や地位に関しても、組織を当てにしている。

・「マネジメント」は、ことのほか難しい言葉である。・・・(中略)・・・「マネジメント」は職能を表すと同時に、その職能を担う人々をも指す。社会的な地位、さらにはひとつの専門分野、研究分野も意味する。

・マネジメントとは、近代組織に特有の要素である。組織が成果をあげられるかどうか、存続できるかどうかは、マネジメントの働きにかかっている。

2. マネジメントには専門性が求められる

・マネジメントとは、職能であり、専門領域であり、果たすべき務めである。そして、マネジャーは、この専門領域の実践者として職能を活かし、務めを果たす。

・マネジャーが組織の所有者を兼ねているかどうかは、もはや重要ではない。かりに所有者であったとしても、あくまでマネジャーとしての役割が主であり、所有者としての属性は副次的なものにすぎない。

3. 企業中心の社会から多元的な社会へ ~ 企業のマネジメントに焦点を絞れ

・二〇世紀に入ってからは、企業の重要性は低下の一途をたどってきた。企業が弱体化したのではなく、ほかの組織が企業よりはるかに速い成長を遂げたからである。社会が多元化してきたわけだ。

・なぜ、企業のマネジメントに焦点を絞るのかといえば、何よりそこから二〇世紀のサクセス・ストーリーが紡ぎ出されたからである。

・マネジメントの誕生は、現代における決定的に重要な出来事である。

・誕生して間もない組織が、民族や宗派、言語、伝統などの垣根をものともせず、世界を股にかけて活動するなど、現役世代の多くにとって、前代未聞である。

・先進国社会は・・・(中略)・・・主要組織のマネジャーたちのリーダーシップに多くを頼っている。彼らの知識、ビジョン、責任をよりどころとしている。このような社会を、必須の存在、かけがえのない貢献主体、そして研究対象や知識分野として支えるのが、マネジメントの務めと責任であり、実践である。