【要約】第4章 人の強みを生かす

‐第4章 人の強みを生かす まとめ‐

組織は強みを成果に結びつけつつ、弱みを中和し無害化するための道具である。成果に関わるすべてのことについて、機会を育て問題を立ち枯れにすること。そのためには、人事、上司との関係、自身の仕事で強みを生かす姿勢を貫徹すること。その強みの発揮の妨げとならない限り、弱みは関係ないものとして無視すること。

 

本章からの抜粋は以下とした。

1. 強みによる人事

・成果をあげるには、人の強みを生かさなければならない。弱みからは何も生まれない。強みこそが機会である。強みを生かすことは組織に特有の機能である。

・人事において重要なことは、弱みを最小限に抑えることではなく強みを最大限に発揮させることである。

・人に成果をあげさせるには「自分とうまくいっているか」を考えてはならない。「いかなる貢献ができるか」を問わななければならない。「何ができないか」を考えてもならない。「何を非常によくできるか」を考えなければならない。特に人事では一つの重要な分野における卓越性を求めなければならない。

・組織とは、強みを成果に結びつけつつ、弱みを中和し無害化するための道具である。

・仕事は客観的に設計しなければならない。人の個性ではなく、なすべき仕事によって設計しなければならない。

 【強みに基づく人事:4つの原則】

  1. 適切に設計されているか:人にはできない仕事を作ってはならない。
  2. 多くを要求する大きさのものか:関わりのある強みが成果をあげられるよう、仕事は大きく設計すること。熱意に燃え誇るべき成果をあげている人とは、その能力が挑戦を受け活用されている人である。
  3. その人間にできることか:人事のはるか前から、人事とは関係なく、一人ひとりの人について考えておかなければならない。これが人事考課制度が普及している理由である。
  4. 弱みを我慢できるか:問題ではなく機会を中心に人事を行うことこそ、成果をあげる組織を創造する道であり、献身と情熱を創造する道である。

 

 【独自の考課方法:具体例】

 貢献の目標と実際の成果を記録する。

 その後、次の四点について評価する。

  1. よくやった仕事は何か。
  2. よくできそうな仕事は何か。
  3. 強みを発揮するには何を知り何を身につけなければならないか。
  4. 彼の下で自分の子供を働かせたいと思うか。➀そうであるならなぜか、②そうでないならなぜか。

・上司は部下の仕事に責任を持つ。部下のキャリアを左右する。したがって、強みを生かすことは成果をあげるための必要条件だけでなく、倫理的な至上命令、権力と地位に伴う責任である。

 

2. 上司の強みを生かす

・「上司にどう対応するか」で悩まない者はいない。実のところ答えは簡単である。成果をあげるものならばみな知っていることである。上司の強みを生かすことである。

・なすべきことから考え、それを上司にわかる形で提案すること。

・誰もが人については専門家になれる。本人よりもよくわかる。したがって、上司に成果をあげさせることはかなり簡単である。

 

3. 自らの成果をあげる

・自らの仕事においても、まず強みからスタートしなければならない。自らのできることの生産性をあげなければならない。

・させてもらえないことに不満を言う代わりに、してもよいことを次から次へと行う。

・まず初めに「何ができるか」という質問からスタートするならば、ほとんどの場合、手持ちの時間や資源では処理できないほど、多くのことがあることを知るはずである。

・「ほかの人には難しいが自分には簡単にやれることはなにか」を考えること。

・強みを生かすことは、行動であるだけではなく姿勢でもある。

・強みのみが成果を生む。弱みはたかだか頭痛を生むくらいのものである。しかも弱みをなくしたからといって何も生まれはしない。弱みをなくすことにエネルギーを注ぐのではなく、強みを生かすことにエネルギーを費やさなくてはならない。

・エグゼクティブの任務は人を変えることではない。人のもつあらゆる強み、活力、意欲を動員することによって全体の能力を増加させることである。