‐第2章 汝の時間を知れ まとめ‐
成果をあげる上での最大の制約条件は時間と認識すること。時間の活用と浪費の違いは業績と成果に直接現れる。「まったくしなかったならば何が起こるか?」を考え、「何も起こらない」が答えであるならば、その仕事は直ちにやめるべきである。また、仕事を整理しすぎることを恐れないこと。刈り込みすぎることは殆ど起こりえない。具体的には以下の3点を定期的に実践すること。
(1)時間を「記録する」
(2)時間を「整理する」
(3)時間を「まとめる」
本章からの抜粋は以下とした。
1. 時間は普遍的な制約条件
・成果をあげる者は仕事からスタートしない。時間からスタートする。計画からもスタートしない。時間が何にとられているかを明らかにすることからスタートする。
・次に、時間を管理すべく、時間に対する非生産的な要求を退ける。
・最後に、そうして得られた自由になる時間を大きくまとめる。
・時間を「記録する」「整理する」「まとめる」の三段階にわたるプロセスが成果をあげる時間管理の基本となる。
・あらゆるプロセスにおいて、成果の限界を規定するものは最も欠乏した資源である。それが時間であり、時間は他のもので代替できない。
・時間に対する愛情ある配慮ほど成果をあげている人を際立たせるものはない。
2. 必要とされる時間
・時間を無駄に使わせる圧力は常に働いている。成果には何も寄与しないが無視できない仕事に時間を取られる。
・成果をあげるには大きな塊の時間が必要である。細分化していたのでは役に立たない。
・多少なりとも成果をあげるには、組織全体の成果と業績に焦点を合わせなければならない。自らの目を、仕事から成果へ、専門分野から外の世界、すなわち成果が存在する唯一の場所たる外の世界へ向けるための時間を必要とする。
・組織からの要求、人に関わる問題からの要求、創造と変革からの要求ゆえに、エグゼクティブの時間の管理はますます重要となる。
3. 時間の使い方を診断する
・知識労働においては時間の活用と浪費の違いは成果と業績に直接現れる。
・成果をあげる第一歩は、実際の時間の使い方を記録することである。
・次に行うべきは、体系的な時間管理である。
【非生産的な活動を見つけ、排除する方法】
- 何の成果も生まない時間の浪費である仕事を見つけ、捨てること。「まったくしなかったならば何が起こるか?」を考え、「何も起こらない」が答えであるならば、その仕事は直ちにやめるべきである。
- 他の人間でもやれることは何かを考えること。
- 自らがコントロールし、自らが取り除くことのできる時間浪費の原因を排除すること。人は、他人の時間まで浪費していることがある。
・仕事を整理しすぎればすぐにわかる。整理することを恐れないこと。
4. 時間浪費の原因を整理する
【マネジメントと組織構造の間違いに起因する時間の浪費】
- システムの欠陥や先見性の欠如からくる時間の浪費。典型的には周期的な混乱。
- 人員過剰からくる時間の浪費。
- 組織構造の欠陥からくる時間の浪費。その兆候が会議の過剰。時間の四分の一以上が会議に費やされているならば、組織構造に欠陥があると見てよい。
- 情報に関わる機能障害からくる情報の浪費や不適切な情報。
5. 自由になる時間をまとめる
・容赦なく時間浪費の原因を切り捨てていっても、自由になるまとまった時間はさほど多くはない。
・時間管理の最終段階では、時間の記録と仕事の整理によってもたらされた自由な時間をまとめること。
・継続的に時間の記録を取り、定期的に仕事の整理をしなければならない。自由にできる時間の量を考え、重要な仕事については締め切りを設定しなければならない。
・汝自身を知れとの昔からの知恵ある処方は、儚い身の人間にとっては不可能なほど困難である。しかし、汝の時間を知れとの処方には誰でも従うことはできる。その結果、誰でも貢献と成果への道を歩むことができる。