【要約】第1章 成果をあげる能力は修得できる

‐「第1章 成果をあげる能力は修得できる」まとめ‐

成果をあげる必要性、歴史的背景、成果をあげる能力の成り立ちについて述べる。終章「成果をあげる能力を習得せよ」と対になる章立て。

知識労働者が主役となる組織社会では成果をあげる能力について軽く扱うわけにはいかない。また、成果をあげる能力は一つの習慣であり、成果をあげる人のタイプなるものも存在しない。成果をあげる習慣的な能力は以下の5つであり、条件反射として身につけるまで何度も反復し修得してしまうこと。

(1)何に時間がとられているかを知る

(2)外の世界に対する貢献に焦点を合わせる

(3)強みを基盤にする

(4)優れた仕事が際立った成果をあげる領域に力を集中する

(5)成果をあげるよう意思決定を行う

 

本章からの抜粋は以下とした。

 

1. 成果をあげる者はなぜ必要か

・成果をあげることがエグゼクティブの仕事。成果をあげる=物事をなすということ。

・しかし、大きな成果をあげているものは少ない。知力、想像力、知識と成果をあげることの間にはほとんど関係がないかのようである。

・知力、想像力、知識はあくまで基礎的な資質であり、結果に結びつけるには、成果をあげるための能力が必要。

・かつては、肉体労働者が圧倒的多数であった。今日では組織が社会の中心であり、頭脳を用いて仕事をする知識労働者が中心的存在となっている。そのような社会では、成果をあげることを軽く扱うわけにはいかなくなっている。

知識労働者は自らをマネジメントしなければならない。

・考えることこそ知識労働者固有の仕事。考えることがなすべきこと。

知識労働者は、それ自体が独立して成果となるようなものを生み出さない。知識労働者が生み出すのは、知識、アイデア、情報である。それらのものが意味を持つためには、他の知識労働者がインプットとして使い、何らかのアウトプットを生み出してくれなければならない。つまり、成果を他の人間に共有することで意味を持ち、自らの生産物の効用をあてにするわけにはいかない。

・しかも、知識労働者が先進社会が国際競争力を獲得し、維持するための唯一の生産要素である。

 

2. エグゼクティブとは

・今日の組織では、自らの知識あるいは地位ゆえに組織の活動や業績に実質的に貢献をなすべき知識労働者は、すべてエグゼクティブである。自らの貢献に責任を負わなければいけない。

・組織では、一人もマネジメントしていないが実質的にエグゼクティブである人も大勢いる。

・あらゆる階層において意思決定を行うものは企業の社長や政府機関の長と同じ種類の仕事をしている。すなわち、企画、組織、統合、調整、動機づけ、成果の測定。

 

3. 働くものを取り巻く組織の現実

・組織に働く者の置かれている状況は、成果をあげることを要求しながら、成果をあげることを極めて困難にしている。また、自らが成果をあげるよう意識して努力しない限り、まわりを取り巻く現実が彼らを無価値にする。

・エグゼクティブが置かれるコントロールできない4つの現実。

1. 時間がすべて他人に取られてしまうこと

組織に囚人と定義せざるを得ない。誰でも彼の時間を奪え、現実に誰もが奪う。

2. 日常業務に取り囲まれていること

状況を変える行動をとらない限り日常業務に追われ続ける。

関心と行動を決定してしまう。日常の仕事は何が本質的に重要な意味を持ち、何が派生的な問題に過ぎないかを、個々の事象からは知ることもできない。

3. 組織で働いていること

他の者が彼の貢献を利用してくれるときにのみ、成果をあげることができる。

組織は一人ひとりの人の強みを発揮させるための仕組みであり、自らの貢献を利用してもらい成果に結びつけてもらわなければ、いかなる成果もあげられない。

4. 組織の内なる世界にいること

組織の中に成果は存在しない。すべての成果は外にある。組織の中に生じるのは努力とコストだけである。

組織は存在することだけが目的ではない。外の環境に対する貢献が目的である。組織が成長するほど、成功するほど、組織で働く者の関心、努力、能力は組織の中ことで占領され、外の世界における本来の任務と成果を忘れていく。

組織にとって重要な意味を持つ外部の出来事が、多くの場合、定性的であって定量化できないことである。

外の世界における真に重要なことは趨勢ではなく、趨勢の変化。そのような変化は知覚するものであって、定量化したり、定義したり、分類するものではない。

組織で働く者は、意識的に外の世界を知覚すべく努力しなければ、やがて内部の圧力によって外の世界が見えなくなる。

4. 成果を大幅に改善する方法

・仕事と成果を大幅に改善する唯一の方法が、成果をあげる能力を向上させること。われわれは現存する人間をもって組織をマネジメントしなければならない。

・人類の歴史は、いかなる分野においても豊富にいるのは無能な人の方であることを示している。せいぜい、一つの分野に優れた能力を持つ人を組織に入れられるだけである。他の分野については並の能力しかもたない。

・一つの重要な分野で強みを持つ人が、その強みをもとに仕事を行うよう組織をつくることを学ばなければいけない。仕事ぶりの向上は、人間の能力の飛躍ではなく仕事の方法の改善によって図らなければならない。

・成果をあげる能力は組織のニーズからして重要である。同時に一人ひとりの成果と自己実現の鍵としてさらに重要である。

 

5. 成果をあげるの能力は修得できるか

・成果をあげることは一つの習慣であり、成果をあげる人のタイプなどというものは存在しない。

・習慣は実践的な能力の集積であり、実践的な能力は修得することができる。条件反射として身につけなければならない。何度も反復しなければならない。

・成果をあげるために身につけるおくべき習慣的な能力は5つある。

(1)何に時間がとられているかを知ること。

(2)外の世界に対する貢献に焦点を合わせること。

(3)強みを基盤にすること。

(4)優れた仕事が際立った成果をあげる領域に力を集中すること。

(5)成果をあげるよう意思決定を行うこと。